いま世界のコーヒー産地で何が起きているのか
コーヒーの味や香りは「産地での気候」に強く左右されます。
近年は主要産地が同時にトラブルを抱え、異常気象や物流遅延、その他様々な要因が重なって生豆価格が跳ね上がっています。
まずは産地の現状から見てみましょう。
1. ブラジル ― 70 年ぶりの深刻な干ばつ
- 世界シェア約 35%。2024〜25 年の雨量は平年比 ▲30〜40%で、樹勢が弱り 2025/26 作柄は前期比 ▲6%見込み。
- 中小農家は灌漑設備がなく収量が半減する例も。結果、NY アラビカ相場は 50 年ぶり高値へ。
2. ベトナム ― ロブスタ王国を襲う“水不足”
- インスタント需要を支えるロブスタ世界最大産地だが、中部高原で深刻な水不足。2024/25 収穫は ▲20%とも。
- 「ロブスタ不足」を補うためアラビカ需要が増え、両者の価格が連鎖高。
3. コロンビア ― 雨と乾燥が交互に来る“ジェットコースター気候”
- 豪雨と干ばつが短周期で交互に到来。開花時期がズレ、収量が安定しない。
- 高温でさび病が高地へ拡大し、耐病性新品種を急ぎ導入中。
4. エチオピア・東アフリカ ― 紅海ルートの混乱
- 紅海情勢悪化でコンテナ船が喜望峰まわりに迂回。輸送日数+20日、運賃2〜3倍が常態化。
- 物流遅延で“モカが届かない”ケースが発生し、スポット在庫が枯渇気味に。
▼ ここまでのまとめ
世界のコーヒー供給量は「干ばつ・豪雨による減産」と「輸送コストの高騰」でタイトになり、在庫は 25 年ぶり低水準に落ち込んでいます。
供給が細ると価格は上がりますが、「価格が上がり始めた商品」には、さらなるプレイヤーが集まります。──そう、投資家です。ここからは“お金の流れ”がどう価格を動かすかを見てみましょう。
なぜコーヒーが“投資ゲーム”の舞台になっているの?
コーヒー豆は 「先物市場」 という世界共通の商品(コモディティ)。
供給不安 → 価格高騰のニュースは、『値動きが大きい=稼ぎやすい』と映り、投資家にとって“稼ぎやすいチャンス”に見えます。
どんな投資家が集まる?
- 短期売買ファンド — 値動きを追う自動売買で相場を加速。
- ETF・ETN — 株感覚で買える商品。米国ティッカー
JO
は2024年末から約+30%。 - 個人投資家 — スマホ証券やCFDで「原材料高≒チャンス」と参入。
価格への影響
- ジェットコースター相場 — 急騰→急落が数週間で20%規模。
- 実需と乖離 — 収穫量十分でも先物主導で高値が続く。
- 農家の売り控え — 「もっと上がる」と考え出荷を遅らせ逼迫。
イメージで言えば――
中規模スタジアム(=コーヒー市場)に突然大型観光バス(=投資マネー)が何十台も押し寄せるようなもの。席が足りずチケット(=価格)が一気に跳ね上がる、そんな状況です。
3. 小さな一杯に込められた“大きなお金”
産地の気候と物流、それに投資マネー──この三つ巴がいまのコーヒー価格を形づくっています。
毎朝の一杯の裏側で動いている“世界とマーケット”を、少し想像してみてください。
スペシャルティコーヒーは生産国でも飲まれるように
かつては「高品質=輸出専用」でしたが、近年は生産国の都市部や若者を中心に自国の美味しいコーヒーを楽しむ動きが広がっています。
- ブラジル:スペシャルティ市場シェアが倍増。
- エチオピア:伝統文化に加え「スペシャルティ」としての価値が定着。
- コロンビアやインドネシア:都市型カフェや観光需要が拡大。
なぜ価格上昇につながるのか?
- 輸出余力の減少 — 地元消費が増えるほど輸出量が減る。
- 需要の二重圧力 — 中国・アジアの需要増と重なり取り合いに。
- マイクロロットの希少化 — 国内外で争奪戦となりさらに高騰。
ベスト・オブ・パナマ 2025:コーヒー界に刻まれた歴史
世界最高峰のコンペ「Best of Panama 2025」では、ラ・エスメラルダ農園が史上初の三冠を達成しました。
世界記録スコア
- Geisha(ウォッシュド):98.00ポイント
- Geisha(ナチュラル):97.00ポイント
- Varietals部門:92.88ポイント
オークションの熱狂
- ウォッシュドGeisha:1kg US$30,204(20kgでUS$604,080)。
- ナチュラルGeisha:1kg US$23,608。
- 50ロット中30ロットが1kgあたりUS$1,000超え。
この価格は「いいこと」なのか?
最高落札価格 US$30,204/kg は日本円で約453万円/kg。
20kg1袋では9,000万円超。
一杯10gなら原価で約45,000円のコーヒーです。
- 農家にとっては:努力が報われ、品質向上の投資に。
- 消費者にとっては:コーヒーが「超高級品化」するリスクも。
- 市場にとっては:投機マネー流入で価格全体を押し上げる懸念。
「価値があるから高い」のか、「高いから価値がある」のか。あなたはどう感じますか?
需要と供給の問題
世界のコーヒー生産量自体は、前年比+4.0%増との予測ですが、需要が供給を上回っており、大手商社の予測では、2025/26年度のアラビカ供給量は-850万袋と、5年連続の減少する見込みです。
最終在庫は過去25年で最低水準の予測がされています。
上記の世界的なコーヒー供給不安が価格を押し上げ、投機筋の買いを促し、先物価格は今後も上昇する予測が出ています。
供給不足が続く一方で、世界の生産量増加と輸出拡大が価格の上昇を抑える可能性はありますが、ブラジルとベトナムの天候次第でさらなる供給リスクが生じる可能性も。
為替は日本の利上げで米国との金利差が縮小し、2024年後半と比較すると、若干円高に動いてはいますが、米国のインフレが続けば、利上げとなり再び円安に振れる可能性もあります。
米の値段がずっと上がっているのがなぜなのか、よく分からないように、今後どうなるのか全く予想できません。
少なからず安くなることはなく現状維持からさらなる高騰だろうなといったところです。
そらの出来ること
残念ながら価格上昇については出来ることは、そらもそれに応じて値上げするほかありません。
変わらず出来ることは今まで通りですが、
- 注文いただいてから焙煎してお届け、お渡しすること
- 焙煎度合いごとに、美味しいコーヒーを探し、それをお届けすること
- 焙煎前後のハンドピックで味に影響がある豆を取り除くこと
- 分かりやすい表現でコーヒーの味をお伝えすること
- コーヒーの知識をお届けすること
- 気軽に質問・相談ができるLINE対応やアフターサポートで安心感をあたえること
いろんなコーヒー屋さんが悩みに悩んでいる話題だと思います。
コロナの時期もそうでしたが、ここでまた大きな変革期なんだろうと感じています。
コーヒー豆を販売するお店はどんどん増え、また無くなるお店も少なくはないと思います。
そらの良いところは継続しつつ、変えていかなければならないところは変える。
お客様のお声を聞きながらより良いお店、より良い関係を築いていけるよう努力していきます。
そらの思いは変わらずです。
そらのコーヒーを通じて「幸せなひと時を」お届けしていきます。
あなたの暮らしに「幸せなひと時を」
焙煎当日に発送することはお客様との約束。
お家でも職人の淹れたような極上のコーヒーを飲んで欲しい。
お家でのコーヒータイムが毎日の小さな幸せであって欲しい。 そんな思いからお店を始めました。
焙煎幸房“そら”では、あなたの暮らしに『幸せなひと時を』というコンセプトのもとコーヒーの素晴らしさをお伝えしたいと考えています。
また、コーヒーには癒しの効果もあり、暮らしの中にコーヒータイムを入れるだけで 日々の何気ない暮らしの中にでも、『幸せ』を感じることができます。
コーヒーには人を幸せにする力がある。そう信じています。
そらのコーヒーがあなたの心のよりどころでありますように。