「カビ毒」を不安に思うあなたへ。焙煎幸房“そら”が伝えたい、コーヒーの本当の安心と美味しさの基準 - 岐阜県大垣市のスペシャルティコーヒー豆専門店 焙煎幸房“そら”
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「カビ毒」を不安に思うあなたへ。焙煎幸房“そら”が伝えたい、コーヒーの本当の安心と美味しさの基準
     公開日:2026年1月28日 (水曜日)

「カビ毒」を不安に思うあなたへ。焙煎幸房“そら”が伝えたい、コーヒーの本当の安心と美味しさの基準

「毎日飲んでいるコーヒーに、カビ毒が含まれているかもしれない」
そんな言葉を見かけて、不安になったことはありませんか?

先に結論からお伝えします。
日本で正規に流通しているコーヒーを、日常的に飲む分には、過度に恐れる必要はありません
ただし、「何も気にしなくていい」でも、「高価なカビなしコーヒーでなければ危険」でもありません。
大切なのは、言葉の強さではなく、管理の中身です。

この記事では、コーヒー豆屋「焙煎幸房“そら”」が、科学的な根拠(エビデンス)に基づき
カビ毒(マイコトキシン)の正体と、冷静で後悔しないコーヒー豆の選び方をお伝えします。


1. コーヒーのカビ毒(オクラトキシンA)とは?

まず知っておいてほしいのは、コーヒーに関係するカビ毒は、実際に存在するということです。
代表的なのが オクラトキシンA(Ochratoxin A)

化学式は $C_{20}H_{18}ClNO_{6}$ と表されます。

この物質は、特定のカビ(Aspergillus属、Penicillium属)が産生し、
コーヒーに限らず、穀物、ワイン、ドライフルーツなど、私たちの身近な食品でも問題になることがあります。

ここが重要です。
カビ毒の話は「ある・ない」で語られがちですが、本質はそこではありません。
「どの程度含まれているか」、そして「どれだけ低く管理されているか」が重要です。

参照元:
農林水産省「かび毒(オクラトキシンA)について」

https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/

2. 日本のコーヒーは、どうやって管理されているのか?

まず押さえておきたい事実があります。

日本では現時点で、コーヒー(生豆・焙煎豆・粉)に対して「◯ μg/kg 以下」といった形の
オクラトキシンAの最大基準値は、公的に明示されていません。

ただし、これは「放置されている」という意味ではありません。
厚生労働省は、オクラトキシンAについて、健康影響が大きいと考えられる食品から優先的に
リスク評価と基準整備を進めています。

現在は、小麦や大麦などの麦類を対象に、5 μg/kg を超えないといった成分規格の検討が進められており、
食品安全委員会に対して食品健康影響評価が依頼されています。

一方、コーヒーについても「オクラトキシンAによる汚染が起こり得る食品」として位置づけられており、
国際的な枠組みを踏まえた管理が前提となっています。

実際、国際的にはコーデックス(Codex)がコーヒーを含む食品におけるカビ毒低減のための実施規範を定めており、
日本の輸入・流通現場でも、こうした国際基準を参考にした検疫や自主検査が行われています。

つまり現在の状況は、

「国際的なルールと監視のもとで管理され、
さらに日本でも、食品ごとの優先度に応じてルール整備が段階的に進められている」

という状態だと言えます。

参照元:
食品安全委員会「オクラトキシンAに関する食品健康影響評価の要請(2024年)」

https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?fileId=210&retrievalId=kai20240321ks1

厚生労働省「食品中のカビ毒に関するリスク管理資料」

https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001177200.pdf

3. 焙煎でカビ毒はどうなるのか?

もう一つ、安心材料として知っておいてほしいのが焙煎の影響です。

複数の査読付き研究により、コーヒー豆を焙煎することで、オクラトキシンAは
大きく低減することが分かっています。

研究によって差はありますが、約69〜96%程度の低減が報告されています。
焙煎条件によっては、8〜98%と幅があることも確認されています。

大切なポイント
焙煎は「リスクを下げる方向に働く工程」ですが、温度・時間・豆の状態によって結果は変わります。
単一の数字で断言しないことが、正確な理解につながります。

参照元:
van der Stegen et al., 2001(PubMed)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11600012/

Ferraz et al., 2010(Food Control)

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0956713509003260

4. 「カビなしコーヒー」が高価な理由

「カビ毒なし」「マイコトキシンフリー」と強調されたコーヒーが、
一般的なコーヒーより高価になりやすい理由は、主に次の2つです。

  • 追加検査のコスト:ロットごとの外部検査費用
  • ブランディング:「安心・安全」という言葉の付加価値

ただし冷静に見ると、「ハンドピック」「トレーサビリティ」「オーガニック栽培」は、
スペシャルティコーヒーでは特別なことではありません。

それ自体が「特別に安全」であることの証明になるわけではないという点は、知っておいてほしいところです。

また、ロットごとに外部検査をしているかどうかは不明です。簡単に言うと1回のみ検査をしてそれを証明としている可能性もあります。

5. プロが見る「言葉の矛盾」

ここからは、コーヒー豆屋として少し踏み込んだ視点でお話しします。

最近よく見かけるのが、「特殊技術でカビ毒を取り除いた」「独自技術でカビ毒を排除した」といった表現です。

ただ、そうした文言が使われていても、
具体的に「どの工程で」「どのように」「どの程度」低減しているのかが明確に示されていないケース
も少なくありません。

もし仮に、本当に特殊な技術や独自の方法があるのであれば、
お客様のことを考え、その内容をできる範囲で明確に説明するのが一般的だと考えます。

それが示されていない場合、「特殊技術」「独自技術」という言葉自体が、
実は特別でも独自でもない一般的な工程を、強い言葉で表現しているだけ、という可能性も否定できません。

また、「船便による長期輸送でカビが発生するリスク」を強調する表現も見られます。
しかし本当にそのリスクを最小限に抑えたいのであれば、高コストでも空輸を選ぶという判断になるはずです。

実際には、多くの場合で通常の船便が使われています。これは、船便そのものが危険という意味ではなく、
管理と検疫が前提となった輸送手段だからです。

この点については、業界団体である 全日本コーヒー公正取引協議会(AJCFT)も、公式に見解を示しています。

AJCFTの資料では、日本で販売されるコーヒーは、食品衛生法に基づく輸入食品検疫を受け、
カビ毒(オクラトキシンA等)についても問題のないものが流通していると説明されています。
また、水濡れや結露などによって品質に問題のある生豆は、検疫段階で排除される仕組みがあることも明記されています。

つまり、「特別な除去技術があるから安全」なのではなく、
産地での管理、輸送、検疫、選別、焙煎といった一つひとつの工程が積み重なって、安全性が担保されています。

そらは、「強い言葉」よりも、誰が、どこで、どう育て、どう運び、どう扱った豆なのかという透明性こそが、
本当の安心につながると考えています。

参照元:
全日本コーヒー公正取引協議会(AJCFT)「『カビ無しコーヒー豆』等の表示に関する考え方(2019年)」

https://www.ajcft.org/news/up_files/20190725.pdf

6. 本当に安心で美味しい豆の選び方

  • 焙煎日が明確で、回転が早いこと
  • 欠点豆除去について、具体的な説明があること
  • 作り手の考え方や姿勢が見えること

そらから
私たちは、カビ毒を「消す」ために豆を選んでいるのではありません。
最高に美味しい一杯を届けるために、美しい豆を選んでいる。
その結果として、カビ毒のリスクが極限まで抑えられているだけです。

「安全」を目的にするのではなく、「美味しい」を突き詰めた結果としての安全。それが、そらの考え方です。

よくある質問(Q&A)

Q. 「カビ毒なし」と書いてあれば完全に安全ですか?

いいえ。「完全にゼロ」を科学的に証明することはできません。
多くの場合は「検出限界以下だった」「基準値を十分に下回っていた」という意味を、分かりやすく表現しているものです。

Q. 毎日コーヒーを飲んでも問題ありませんか?

一般的な飲用量であれば、健康リスクは非常に低いと国際的に評価されています。

参照元:
EFSA(欧州食品安全機関, 2020)

https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2020.6113

※この記事は、特定の商品・ブランド・店舗を否定または推奨することを目的としたものではありません。
コーヒーに関する一般的な科学的知見と、焙煎幸房“そら”としての考え方をお伝えするための記事です。

コーヒーは、不安を感じながら飲むものではなく、日常の中でホッとできる時間のためのものだと思っています。
「カビ毒なし」という言葉に振り回されるより、きちんと管理され、焙煎したてのコーヒーを、安心して楽しんでほしい。
この記事が、その判断材料のひとつになれば嬉しいです。



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