コーヒーの生豆は洗うべき?コーヒー豆屋が茶色い水の正体と胃痛の原因を解説 - 岐阜県大垣市のスペシャルティコーヒー豆専門店 焙煎幸房“そら”
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コーヒーの生豆は洗うべき?コーヒー豆屋が茶色い水の正体と胃痛の原因を解説
     公開日:2026年3月13日 (金曜日)

SNSなどでは、『生豆はかなり汚れているから洗うべき』という話を見かけることがあります。
でも、実際のところはどうなのでしょうか。

今回は、スペシャルティコーヒーの生豆を前提に、

  • 生豆は洗う必要があるのか
  • 茶色い濁りの正体は何か
  • 胃が痛くなる話と本当に関係があるのか

このあたりを整理していきます。

結論:スペシャルティコーヒーの生豆は、基本的に洗わなくて大丈夫です

先に結論を書くと、スペシャルティコーヒーの生豆は、基本的には洗わなくて大丈夫です。

理由は大きく3つあります。

  • 生産地から輸送までの管理がかなり整っていること
  • 水が茶色くなるからといって、それがそのまま泥や汚れとは言えないこと
  • 『洗うと胃にやさしくなる』という話の理由が、汚れとは別のところにある可能性が高いこと

生豆は土や泥でひどく汚れているのか

『コーヒーは農作物だから、収穫から袋詰めまでの間に土や埃がたくさん付くのでは』と思う方もいるかもしれません。

たしかに、昔の安価な流通では、乾燥や保管の環境が今ほど整っていないケースもあったと思います。
ただ、現在のスペシャルティコーヒーでは、品質を守るための管理がかなりしっかりしています。

地面に直接触れにくい乾燥方法

スペシャルティコーヒーでは、『アフリカンベッド』と呼ばれる高床式の乾燥棚が使われることがあります。
地面から離れた場所で乾燥させるため、土や泥が付きにくい環境です。

また、乾燥している段階では、まだ私たちが見る『生豆』の状態ではありません。
ウォッシュドやハニー製法ではパーチメント付き、ナチュラルでは果実が付いた状態です。

パーチメントとは生豆の外側にある硬い殻です。枝豆の食べれない皮、あるじゃないですか。それを思い浮かべていただくとイメージしやすいと思います。

そのため、仮に外側に土や埃が付いたとしても、それがそのまま中の豆に直接付くわけではありません。

参照元:
Nordic Approach|Coffee Processing
Nordic Approach|Coffee Parchment

異物は選別でしっかり取り除かれる

乾燥後、パーチメントを外して生豆にする工程でも、異物や欠点豆は選別されていきます。

スペシャルティコーヒーでは、物理評価として欠点やサイズ、水分なども見られます。
SCAの基準では、350gのサンプルの中に一次欠点が1つでもあれば、スペシャルティとしては認められません。
石などの異物もこの一次欠点に含まれるので、それくらい厳しく見られています。

※ただ、実際は石、コンクリート片、とうもろこしなどが稀に一緒になっている。。。

参照元:
SCA|Coffee Standards
SCA|Coffee Standards(PDF)

輸送時も品質保持が重視されている

輸送の段階でも、近年はグレインプロのような内袋が使われることがあり、湿気やにおい移りの影響を受けにくくする工夫がされています。

もちろん農産物なので、まったく何も付かないと言い切ることまではできません。
ただ、少なくとも『生豆は泥だらけだから洗わないと危険』というイメージとは、かなり違います。

※グレインプロはビニール袋のことなんだけど、ビニールなので当然破ける。結構な確率で破けている。。。

参照元:
GrainPro|Official Site
GrainPro|GrainPro Bags

水洗いしたときの茶色い濁りは何か

生豆を水で洗うと、水が茶色く濁ったり、薄い皮のようなものが浮いてきたりする様子を、動画や画像で見たことがある方もいると思います。
あれを見ると、『こんなに汚れていたのか』と感じやすいです。

ただ、その茶色い濁りをそのまま『汚れ』と考えるのは少し早いです。

茶色い濁りの正体は、薄皮や豆の成分と考える方が自然です

あの濁りの主な正体として考えられるのは、豆の表面に残っている薄皮や、コーヒー豆由来の成分です。

この薄皮は、枝豆の表面にうっすら残る薄皮のようなものをイメージすると分かりやすいと思います。
コーヒーにも、そうしたごく薄い皮が残っていることがあります。

そのため、水に入れたときに出てくる茶色い濁りは、
『汚れがたくさん落ちた』というより、
『薄皮や豆の成分が水に出た』
と考える方が自然です。

お米を研いだ時に水が白くなったり、お茶の色が出たりするのと少し似ています。
色が出たからといって、すぐに『強い汚れが落ちた』とは言えません。

この薄皮は焙煎中にもはがれていきます

こうした薄皮は、焙煎の熱や風ではがれていきます。
そのため、事前に水で洗って落とさなければいけないものではありません。

野菜を洗うのと同じように、と言われますが、そもそも野菜は生で食べることがあるから洗う人が多いです。野菜って表面をサッと流すだけだったりしますよね。もともと、スーパーに並んでいるような野菜はキレイな状態で販売されているので洗わなくても気になりませんが。

参照元:
PMC|Coffee Silver Skin: Chemical Characterization
Sweet Maria’s|Silverskin

農薬やカビ毒は水洗いで解決するのか

『土汚れではないとしても、目に見えないものは大丈夫なの?』
そう感じる方もいると思います。

たとえば、農薬やカビ毒を心配されることがあります。
ただ、この点についても、水洗いでどうにかするというより、まず前提として品質管理や選別、そして焙煎の影響を考えた方が自然です。

焙煎は強い熱処理です

コーヒーは焙煎のときに高温で加熱されます。
この加熱によって、オクラトキシンAのようなカビ毒は、焙煎条件によって大きく減少するとされています。

つまり、『何か不安があるなら水洗いで解決する』というより、
実際には選別や管理、そして焙煎という工程の方が影響は大きいと考えられます。

農薬のこと、カビ毒のことはまた別で記載しているので下記をご覧ください。
コーヒーは食品で世界一農薬使用量の多い作物という嘘とホント
「カビ毒」を不安に思うあなたへ。焙煎幸房“そら”が伝えたい、コーヒーの本当の安心と美味しさの基準

参照元:
ICO|Prevention and Reduction of Ochratoxin A in Coffee(PDF)
ACS|Effect of roasting conditions on reduction of ochratoxin A in coffee

『洗うと胃が痛くならない』は本当か

ここは特に誤解されやすいところです。

『生豆を洗ってから焙煎したら、すっきりした』
『洗った方が胃にやさしい気がする』

そう感じる人がいるのは不思議ではありません。
ただ、それをそのまま
『洗って汚れが落ちたから胃が痛くならなくなった』
と考えるのは、少し無理があります。

胃への刺激は、コーヒーの成分や焙煎度合いの影響が大きいです

コーヒーを飲んだときの胃の感じ方には個人差がありますが、研究では、深煎り寄りのコーヒーの方が中煎り寄りのコーヒーより胃酸分泌を弱く刺激したという結果があります。

つまり、胃が痛くなる理由を『豆の外側の汚れ』だけで説明するのは難しいです。

参照元:
PubMed|Dark brown roast coffee and gastric acid secretion
PMC|Effects of Coffee on the Gastro-Intestinal Tract

水洗いすると焙煎の進み方は変わりやすくなります

生豆を水で洗うと、豆の中の水分が増えます。
すると、焙煎の最初の段階でその水分を飛ばすために、いつもより熱と時間がかかりやすくなります。

その結果、焙煎の進み方が普段とは変わりやすくなります。
少し深煎り寄りの仕上がりになれば、胃を刺激しやすい成分のひとつであるクロロゲン酸も、より分解されやすくなります。

そのため、味が少しまろやかに感じられたり、胃にやさしく感じたりすることはありえます。
もし『洗った豆の方が胃にやさしく感じた』ということがあるなら、
それは汚れが落ちたからではなく、
焙煎の進み方が変わったから、と考える方が自然です。

参照元:
MTPak Coffee|Moisture content and roasting
PubMed|Dark brown roast coffee and gastric acid secretion

水洗いには別のデメリットもあります

生豆を洗うことは、衛生面で大きな意味があるとは言いにくい一方で、焙煎の再現性は下がりやすいです。

焙煎が安定しにくくなります

豆の水分状態が変わるため、いつもの焙煎との違いが大きくなります。
狙った味に合わせにくくなり、再現性も落ちやすくなります。

味わいにも影響しやすくなります

焙煎前に水を加えることは、豆の状態そのものを変えることになります。
そのため、もとの味をそのまま見たい場合には、あえて洗わない方が分かりやすいです。

参照元:
MTPak Coffee|Moisture content and roasting

まとめ:スペシャルティコーヒーの生豆は、基本的に洗わなくて大丈夫です

  • スペシャルティコーヒーの生豆は、管理や選別がしっかりしているものが多い
  • 水洗いしたときの茶色い濁りは、泥ではなく薄皮や豆の成分が主な理由と考える方が自然
  • 胃が痛くなる話は、外側の汚れよりもコーヒーの成分や焙煎度合いの影響を考えた方が自然
  • 洗うことで安心感は出るかもしれないが、焙煎の再現性は下がりやすい

そのため、スペシャルティコーヒーの生豆であれば、安心して飲んでいただいて大丈夫です。

『茶色い水が出た=ひどく汚れていた』
『洗ったから胃にやさしくなった』
と、すぐに結びつけてしまうのではなく、工程全体で見ることが大切です。

生豆を洗うかどうかは、それぞれの考え方があっていいと思います。
ただ、『汚れているから危ない』『洗わないと体に悪い』といった不安を強く煽るような伝え方は、僕はあまり好きではありません。
できるだけ事実を整理したうえで、安心してコーヒーを楽しんでもらえたらと思っています。

それでも気になる方は、洗っているお店での購入をオススメします。

生豆は汚れているのかと不安になっていた方の参考になればうれしいです。

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