うちでおすすめしている差し湯。簡単にできて味も整いやすい方法ですが、「結局、薄まるだけでは?」というコメントをいただきます。今回はそれに答えながら、抽出の順番から見た差し湯のメリットをまとめました。
結論|差し湯は「薄める」のではなく「雑味を避ける」
差し湯は後半に出てくる嫌な成分(雑味・えぐみ・渋み)を入れない代わりに、お湯を足して濃度を整える方法です。薄める作業ではなく、最後の悪い部分を切り捨てる作業、と捉えていただくと分かりやすいです。
差し湯にしても薄くなりません。抽出の後半に出る成分が雑味側なので、それを避けてお湯で量を整えるほうが、家で淹れるコーヒーは美味しくなりやすいと感じています。
普通の入れ方は「最後まで注ぎ切る」|ただし目的は濃度調節
一般的なドリップでは、最後までお湯を注ぎ切って抽出を終わらせます。多くのコーヒー屋さんに聞くと、「この後半は濃度調節のために注いでいる」という答えが返ってくると思います。
つまり、後半の抽出は「特に出したい成分があるから」ではなく、「量を整えるため」にやっている、ということになります。それなら、後半は省略して、お湯で量を整えても結果は変わりません。むしろ後半に出る雑味を避けられるぶん、すっきりした味に寄せやすくなります。
抽出の順番|何が先に出て、何が最後に出るか
研究や大手コーヒーの分析でも、コーヒー成分の出る順番は、おおむね次のように言われています。
- 最初:酸味と香り(軽くて出やすい成分から)
- 次:甘味
- その次:苦味(コクや深みにつながる成分)
- 最後:強い苦味・雑味・えぐみ・渋み(嫌な部分)
「最初は酸味、最後は雑味」というのは大ざっぱな目安です。豆の煎り具合や淹れ方で前後しますが、後半に嫌な部分が出やすいという傾向は共通しています。
差し湯は、この最後の嫌な部分を入れないようにするための方法です。きれいなお湯で量を整えるので、雑味だけ落としつつ、味の輪郭は崩れません。
差し湯のメリット|簡単で、再現しやすい
- 後半の濃度調節を考えなくていい(途中で外すだけ)
- 粉を粗く挽き直す必要がない
- 注ぎのコントロールにこだわらなくても、味がブレにくい
- 毎日同じ味に近づけやすい
「家で美味しいコーヒーを淹れたい」場合に、いちばん再現性が高くて簡単な方法だと感じています。詳しい手順は V60で1杯を淹れる記事 や DEEP 27の記事 でもご紹介しています。
アメリカンコーヒーとの違い|薄めるのとは別物
「差し湯ってアメリカンと同じでは?」というご質問もいただきます。違います。
- アメリカン:浅煎りの豆で淹れる、または普通に淹れたコーヒーをお湯で薄める方法(お店によって定義が違います)
- 差し湯:抽出を途中で止めて、後半に出る雑味を避ける。残り量だけお湯で整える方法
実際にやっていただくと、薄いコーヒーにはなりません。後半の雑味が抜けているぶん、すっきりして飲みやすい味になります。
「邪道」と言われることも|でも家で淹れるなら一番おすすめ
コーヒー専門の方の中には、「差し湯は邪道」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。プロの抽出では、後半まで注ぎ切る前提で粉の挽きや量を細かく調整するのが基本だからだと思います。
ただ、家で気軽に・毎日続けるには、差し湯がいちばん簡単で美味しくなりやすいと感じています。うちのお客さまにも多くの方がやっていただいていて、「すごく美味しくなった」という感想を多くいただきます。
もちろん、しっかり最後まで注ぎ切る入れ方を否定するわけではありません。それぞれの考え方があって、どちらも正解です。家での気軽さを優先するなら差し湯、味を作り込みたいなら最後まで注ぎ切る、と使い分けていただくのが分かりやすいです。
FAQ
差し湯にすると本当に薄くなりませんか?
アメリカンコーヒーと何が違うんですか?
プロのコーヒー屋さんはやらない方法ですか?
浅煎りでも差し湯は効果ありますか?
差し湯のやり方が分かる過去の記事はありますか?
差し湯は「薄める」ではなく「雑味を避ける」方法。一度試していただけると、違いが分かりやすいと思います。
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